若年妊娠の現状と背景

2016年の10代の妊娠は、全体で年間25,761件です。うち266件は14歳以下であり、10代妊娠の56.9%(14,666件)は人工妊娠中絶、43.1%(11,095件)が出産に至っています。10代の人工妊娠中絶率は、1995年から2002年にかけて急上昇しましたが、性交経験率の低下などの影響により、2016年には女子人口千対5と急減しています。15歳以上の出産数が減少しているにもかかわらず、重い背景を抱えていると推定される14歳以下での出産が減少していません。
若年妊娠に至る女性たちは、経済的あるいは心の貧困家庭で育ち、親からの搾取、身体的暴力、心理的虐待や性的虐待などを受けてきたものが多くなっています。結果的に誰にも相談できないまま出産に至り、新生児を遺棄するケースが、0日目の虐待死につながるものと思われます。虐待による死亡や若年妊娠を防止するためにも、性に関する教育や育児支援など産婦人科の果たす役割は極めて大きなものがあります。

(2018年6月1日 日本産婦人科医会報)
(吉村 やすのり)

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