葉酸の摂取―Ⅰ

二分脊椎症の発症
 葉酸は、核酸の合成・修復・調節になくてはならないビタミンです。一番核酸が必要なのは、胎児です。胎児は小さいのですが、母親と全く同じ量の葉酸を必要とします。胎児の細胞分裂の際に葉酸が足りないと、閉鎖障害を起こしてしまいます。諸外国では、二分脊椎症の子どもが非常に多かったのですが、急激に減少しています。各国とも穀類に葉酸を添加するなど大変な努力をしています。
 1998年には米国が中心になり、3億人の米国人に対して、穀類と名前の付くものには葉酸を添加しないものは売ってはならないとしました。米国では、約3億人、つまり3億円しかかけないで、年間6千億円(約50億ドル)の驚くべき費用対効果を生みました。その後、オーストラリアは、米国の成功を見て穀類100g当たりに葉酸280㎍を添加するようになっています。世界保健機関や国連食糧農業機関の基準では、葉酸摂取推奨量は、普通の人で1400㎍、妊婦では600㎍となっています。

2017年8月1日 家族と健康 第761号
(吉村 やすのり)

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