薬剤耐性菌

 抗生物質が効かない薬剤耐性菌が、世界で猛威をふるっています。抗生物質を過剰に投与すると細菌への効き目が弱まったり、全く効かなくなったりします。これを薬剤耐性菌といいます。日本も例外ではありません。最近も病院で100人以上が感染した例が発生しており、集団感染は後を絶ちません。
 海外の研究では、2013年に薬剤耐性菌が原因で亡くなったのは世界で70万人であり、2050年には1千万人へと爆発的に増えると試算されています。耐性菌の代表例は、ペニシリンに耐性がある肺炎球菌(PRSP)や、メチシリン耐性を持った黄色ブドウ球菌(MRSA)です。国内の検査では肺炎球菌や黄色ブドウ球菌の約5割に耐性が確認され、その割合は先進国の中で高くなっています。2020年までにそれぞれの耐性菌を15%以下、20%以下にしようとしています。日本政府は、薬剤耐性菌に関する計画をまとめ、抗生物質の国内使用量を2020年までに2013年比で約3割減らす目標を掲げています。

(2016年10月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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