薬剤耐性菌

 薬剤耐性菌とは、本来効き目があるはずの抗生物質に対して耐性を獲得し、抗生物質の効き目が弱まったり、まったく効かなかったりする細菌のことをいいます。細菌が複数の抗生物質に耐性を持つと多剤耐性菌と呼びます。抗生物質が効かない薬剤耐性菌の一つESBL産生菌により、少なくとも66人の子どもが敗血症を発症し、うち2人が亡くなったことが発表されました。ESBLはペニシリンなどの抗生物質を分解する酵素で、この酵素を作り出す大腸菌などをESBL産生菌と呼びます。健康な人が感染しても問題ありませんが、免疫力が弱い状態の人が血液中に入ると、血圧低下や意識障害などが起きる敗血症を発症したり、死亡することもあります。
 60施設への2次調査で26施設の66人が敗血症を発症したことが判明しました。うち2人が死亡しました。発症年齢は生後0日~18歳まで幅広いのですが、生後28日未満での発症が12人もおり、うち9人は生後3日以内でした。生後3日以内の発症事例については、出産時、破水から赤ちゃんが出てくるまでの間に、母親の菌がうつった可能性があると考えられています。今後は母子感染を防ぐことが重要になります。

(2016年6月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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