被災地におけるオンライン診療の活用

オンライン診療に対応する病院や診療所の数が伸び悩んでいます。厚生労働省によれば、オンラインや電話による診療が実施可能として登録した医療機関は、2023年3月時点で全体の約16%に過ぎません。新型コロナウイルス禍を機に活用が広がり、2020年4月から約6ポイント増えたものの、ほぼ横ばいで推移しています。
厚生労働省が2023年6月にまとめたオンライン診療の推進に向けた基本方針は、診療に必要な機材の導入費用や、医師らが診療システムの利用に習熟する必要があることなどを課題として挙げています。触診や血液検査などオンラインでは難しい医療行為もあります。オンライン診療を有効活用しながら、医師から説明を受け、症状によっては対面で診療を受けるなど、患者側の理解促進に向けた取り組みも欠かせません。
能登半島地震で被災した石川県内で、かかりつけ医のオンライン診療を受けられる取り組みが進んでいます。医療機関や避難所に専用のタブレット端末を配備し、体調の異変を早期発見し、災害関連死を防ごうとしています。能登地域は、もともと医師不足など地域医療の問題を抱えています。オンラインと対面の診療を組み合わせることで、被災者に手厚い医療や安心感を提供できるようになります。

 

(2024年2月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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