認知症の予防

 記憶の過程には、経験や情報を覚える記銘、貯蔵する保持、思い出す再生があります。記銘のためには、注意力と短時間覚えておく作業記憶が必要で、高齢になると衰えやすくなります。認知症の始まりは、記銘力の低下で気づかれることが多くなっています。例えば、約束を忘れるのは注意力の問題かもしれませんが、約束を忘れ、指摘されても思い出せないのは記銘力の問題です。知っているのに名前が出てこないだけなら再生の問題です。
 米国立保健研究所では、認知症予防に有望とみられる生活習慣に運動の習慣や糖尿病のコントロールを挙げています。抗精神薬や市販の風邪薬にも注意することが大切です。利尿薬やうつ病の薬で血液の塩分に異常が起こると、ぼうっとすることがあります。血液の塩分の異常は、嘔吐や下痢が続いても起こることがあります。認知症と診断された人が、薬をやめたら良くなったという例はいくらでもあります。栄養不足による貧血などにも注意が必要です。

(2016年10月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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