認知症診断の進歩

国内の認知症患者の7割が、脳内にたまったアミロイドβやタウなどのたんぱく質が、脳の神経細胞に蓄積して神経細胞が破壊されることにより起きるアルツハイマー型です。ほかに脳卒中などにより、脳細胞に十分な血液が送られずに脳細胞が死滅する脳血管性や、レビー小体という特殊なたんぱく質により脳の神経細胞が破壊され、幻視などが生じるレビー小体型、脳の前頭葉や側頭葉で神経細胞が減少して脳が萎縮し、感情の抑制が利かなくなる前頭側頭型などがあります。
まず問診で、本人や家族から日常生活の様子などを聞き取り、ADL(日常生活動作)を評価した後、スクリーニング検査をします。認知症になると低下するとされる記憶力や計算力、言語力、見当識などを試すテストで、長谷川式認知症スケールが広く使われてきましたが、現在は米国で開発されたMMSE(ミニメンタルステート検査)が使用されています。並行して、脳の萎縮の状況を把握するとともに、正常圧水頭症や硬膜下血腫、脳腫瘍などの可能性を除く目的で、頭部のCTやMRI、神経障害の分布を調べる脳血流SPECT検査などの画像検査を行います。
最近では、アミロイドβを染色して画像化するアミロイドイメージングや、陽電子放出断層撮影(PET)技術でブドウ糖の代謝を可視化して、アミロイドβの分布を調べるFDG-PETなどの手法が開発されています。また血液検査でアミロイドβを高精度で検出するシステムの実用化が目指されています。体への負担が軽く、低コストな検査法の実用化に向け、産官学のプロジェクトも動き出しています。

(2021年5月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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