軍事研究

 来年度の軍事研究費が、平成28年度の18倍にも増額されました。これを受けて日本学術会議は、大学などの軍事研究を禁じた過去の声明を継承する新たな声明案をまとめました。しかし、注目されたデュアルユース(軍民両用)や防衛目的の技術扱いには踏み込みませんでした。軍事研究は、憲法が保障する学問の自由を脅かす恐れがあるとの理由から自粛を求める内容になっています。学術会議は、1950年と1967年に戦争と軍事を目的とする研究を拒否する声明を決議しています。
 1949年創設の学術会議は、科学者が戦争に協力したり動員されたりした歴史への反省が原点となっています。しかし、学問の自由を守るため、軍事研究を排除するという内向きともとれる論理であるとの批判もあります。大学の独創的な研究への取り組みを萎縮させる恐れもあります。防衛目的の研究は、許容されるのではないかとの意見もあります。

(2017年3月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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