陸上養殖の生産量増加

海で育つ魚などを陸地の設備で育てる陸上養殖の規模が急速に拡大し始めています。日本では新たな養殖エリアの確保が難しい事に加えて、水温の上昇といった環境変化も重なり、海上での養殖に限界がみえてきています。代替として需要を高めている陸上養殖は、2019年に比べて倍増しています。陸上養殖の魚を生産してブランド化する動きも全国各地で進んでいます。
国連食糧農業機関の公表によれば、世界の漁獲量のうち養殖が占める割合は2021年時点で57.7%です。世界で消費する水産物は養殖が中心になっています。一方で、日本の養殖の比率は低く、農林水産省の調査によれば、24.1%にとどまっています。日本の漁業にとって養殖比率の引き上げは課題の一つになっています。
魚種は、海ブドウやヒラメ、トラフグの生産が多いのですが、生産する魚種は輸入依存度が高く、用途の広いバナメイエビやサーモンなども増えています。陸上養殖による生産量は、2030年には3万2,500tに増えると予測されています。養殖魚全体に占める割合は2023年時点で0.2%、2030年には3.6%に上昇するとされています。規模は小さいものの、市場が伸び続ける可能性は高いと考えられています。

(2024年4月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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