非正規雇用の待遇改善

女性の社会進出や規制緩和を通して、雇用者数に占める非正規の比率は、2002年の29.4%から2022年に36.9%まで伸びています。業種別では飲食で8割近く、食品スーパーなどの飲食料品小売業で7割強を占めています。2023年12月の有効求人倍率では、介護サービスが4.98倍、運輸・郵便事務が3.99倍といずれも正社員より高くなっています。
政府は、正社員と業務内容に差がない非正規社員の給与などの待遇改善を解消するため、2020年から同一労働同一賃金制度を導入しました。しかし、2022年の1時間あたりの給与は、正社員が平均1,976円、非正規が1,375円と隔たりはなお大きいままです。毎月勤労統計によれば、パート労働者の時間当たり給与は前年より4.2%増えました。正社員の所定内給与の伸びの1.6%を上回り、改善はみられていますが道半ばと言えます。正社員への転換を希望する非正規への対応も進んでいません。
雇用者の4割弱を占める非正規の賃金水準は、正社員の7割にとどまっています。非正規雇用の待遇改善や最低賃金の引き上げが必要です。中小企業ほど非正規が多く、価格転嫁などで賃上げを後押しする政策が必要です。

(2024年2月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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