非結核性抗酸菌症

 世界保健機構によれば、2015年の結核の死者数は約180万人となり、前年を30万人上回ったとしています。日本では2015年に約18千人が発症し、1,900人以上が死亡しています。国内の新規患者は年々減少しています。わが国では、結核に似た呼吸器感染症「非結核性抗酸菌症」の罹患率が、7年で2.6倍に急増しています。
 非結核性抗酸菌症は、結核菌と同じグループの抗酸菌に感染して起こります。せきやたんなどが主な症状ですが、重症化した場合には死亡するケースもあります。数年から十数年かけてゆっくりと進行し、結核患者に用いられる抗菌薬などで治療しますが、根治は難しいとされています。2014年の非結核性抗酸菌症の新規診断数は、10万人あたりの患者数は年14.7人であり、2007年の2.6倍で、年々減少している結核の罹患率の同15.4人と同じ水準まで迫っています。結核の陰に隠れて注目されてきませんでしたが、今後は大きな問題になる可能性があります。

(2016年10月17日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。