風疹の抗体検査

風疹の流行が問題になっています。2019年は2千人以上の患者が報告されました。国立感染症研究所によると、2019年の患者報告は男性1,804人、女性502人です。男性が約8割を占めます。1962年4月2日~1979年4月1日生まれの男性は、ワクチンの定期接種の機会がありませんでした。抗体保有率は80%ほどで、90%前後あるほかの世代に比べ、風疹にかかりやすいと言えます。
40~57歳の男性がとくに注意が必要とされ、厚生労働省は免疫があるかどうかを調べる抗体検査を呼びかけています。厚生労働省は、40~57歳の男性を対象に昨春から3年間、原則無料で抗体検査やワクチン接種を受けられるようにしています。今年度は、まず40~47歳の男性に検査のクーポン券を配布しています。
風疹はくしゃみや咳の飛沫で感染が広がります。1人の患者から免疫がない6~7人にうつす可能性があるとされ、1人から1~2人とされるインフルエンザに比べても、強い感染力があることがわかります。いま問題となっているCOVID-19より感染力は強いかもしれません。風疹の大きな問題は、CRS(先天性風疹症候群)です。妊娠中の女性が感染すると、おなかの赤ちゃんに心臓の病気や、難聴、目の障害などが起きるおそれがあります。1万4千人以上の風疹患者が報告されるなど大流行のあった2013年を中心に、45人のCRSの赤ちゃんが報告されました。
風疹ワクチン接種は、自分のためというよりCRSをなくすために必要です。ワクチンという子どもを守る方法があるのに、接種しないということは許されません。風疹は社会全体で防いでいく必要があります。海外では風疹ワクチン接種が徹底しているため、風疹の流行はほとんどなく、抗体価を測定するようなことはありません。

(2020年2月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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