風邪薬

 風邪は、医学的にかぜ症候群と呼ばれています。風邪の原因の8090%はウイルスです。風邪を起こすウイルスには、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルスなどがあります。気温が低く乾燥する時期は、風邪の原因ウイルスが飛散しやすいため、風邪をひく人が多くなります。外出時のマスクや、帰宅時の手洗いやうがいといった基本的な対策が欠かせません。
 風邪をひいたら、まずはゆっくり休養を取り、水分や栄養を補給することです。そもそも、風邪の主な症状である鼻水やせきは、ウイルスを外に排出しようとする体の合目的反応です。熱が出るのも体の免疫機能を働かせてウイルスに対抗するためです。本来、風邪を治す力があり、一般的には数日~1週間もすれば自然に治ります。抗菌薬である抗生物質は、細菌には作用しますが、ウイルスには効きません。だから、ウイルスが原因である風邪には無効です。市販の風邪薬、いわゆる総合感冒薬は、風邪を治すのではなく、あくまでも症状を和らげるのが目的です。ただし、高齢者や心臓病などの病気の人、風邪の症状が重い場合や長引く場合は、肺炎など他の病気の可能性もあるので、医療機関を受診すべきです。

(2017年1月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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