食物アレルギー

 かつて、食べ物アレルギーを防ぐためには、原因となる卵や牛乳などを避けたほうが良いという考え方もありました。しかし、食品を避けてもアレルギーの予防にはつながらないことを示す研究結果が増えています。念のために食べ始めるのを遅らせましょうという指導が、かえって食物アレルギーを増やしている可能性も考えられます。しかし実際には、子どもにアレルギーの原因となる食物を食べさせるのを遅らせる傾向が強くなっています。環境省の調査によれば、8カ月目までに卵を食べ始めた子どもは53%、1歳になっても食べていない子どもが7%もいます。アレルギーの心配の少ない米は、6カ月以前に乳児の8割が食べています。
 最近では、食物アレルギーが原因でアトピー性皮膚炎が起こるのではないと考えられています。アトピー性皮膚炎のために皮膚からアレルギーの原因となる物質が体内に入りやすくなり、食物アレルギーを発症するという考えが主流になってきています。アトピー性皮膚炎があっても、湿疹などをきちんと治療して適切な時期に食物を与え始めることが、アレルギー予防には大切です。

(2017年1月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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