髄膜炎とは

 髄膜炎とは、脳と脊髄を覆う髄膜に炎症が起こる病気です。細菌感染による細菌性髄膜炎とウイルスによる無菌性髄膜炎に分けられます。発熱や頭痛など風邪に似た症状から始まり、重症化すると意識障害やけいれんなどが起こり、命にかかわることもあります。重症化しやすいのは細菌性で、原因となる菌は多数あります。代表的なのが肺炎球菌やインフルエンザ菌b型(ヒブ)、髄膜炎菌です。このうち、肺炎球菌やヒブによる髄膜炎は小児に多く、予防のためワクチンの定期接種が実施されています。
 髄膜炎菌は感染力が強く、大規模な流行を起こすことがあります。海外との交流が増すにつれ、今後は患者数が増える可能性があります。髄膜炎菌は、せきやくしゃみなどで人から人へうつります。何の症状もない健康な人の鼻やのどから検出されることもあります。その髄膜炎菌が、本来細菌が存在しないはずの血液や髄液中に侵入して起こる感染症が、浸襲性髄膜炎菌感染症です。髄膜炎の中でも、進行が非常に速く、重症化しやすいとされています。WHOの報告では、発症から2日以内に5~10%の患者が死亡するとされています。最も多い世代は50、60代で、男性に多く発症します。日本でも昨年5月から髄膜炎菌ワクチンを接種できるようになりました。ただし任意接種で、1回2万円前後の費用がかかります。1回打てば約5年間、予防効果があります。

(2016年7月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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