高額医薬品

 高齢化社会で、医療費は増え続けています。医療費高騰の中で、薬剤費の上昇が大きな要因になっています。効果は高いが高額の医薬品が登場し、国民皆保険制度が崩壊するのではとの懸念も広がっています。財源となるはずの消費増税が先送りとなりました。
 抗がん剤オプジーボは、免疫力を活用する新しいタイプの抗がん剤で、高い治療効果が認められ、2014年7月に悪性黒色腫で国の承認を受け、昨年末には肺がんにも適用が広がっています。体重60㎏の患者が1年間に使うと3,500万円もかかります。対象となる肺がん患者は約5万人とされ、単純計算で総費用は年1兆7,500億円にも及びます。国民医療費の中の薬剤費、約8兆5千億円を1つの薬で2割押し上げることになってしまします。日本には医療費が高額にならないようにする高額療養費制度があるため、多くの患者は1カ月の自己負担額は数万円で済みます。国民皆保険制度が維持できなくなります。こうした高額医薬品を保険適用するかは、喫緊の課題です。

(2016年6月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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