高齢者優遇の見直し

 医療費で長く続いた高齢者優遇の仕組みが見直されることになります。70歳以上で一定の所得があれば現役世代と同じ負担を求められるようになります。高齢者の負担が増えるのは、高齢化と財政難が背景にあります。65歳以上の高齢化率は約27%に上り、支え手となる現役世代が占める割合は縮小しています。一方、国民全体の医療費は過去10年で3割増え、年間40兆円を超えています。
 1973年に始まった老人医療費無料化は1983年に廃止されました。外来は月400円の定額制となり、その後も負担は増え続けています。高所得者の自己負担割合は、現役世代と同じ3割になっています。政治が人気取りのために高齢者医療を一律に無料化したのは、正しくなかったように思えます。40年間かけて少しずつ是正が進んできています。現役世代に比べて医療機関にかかる機会が多い高齢者にとって、負担がいっそう重くのしかかることになりそうです。

(2016年12月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。