高齢者医療の見直し―Ⅱ

高齢者の窓口負担増
日本の国民医療費は40兆円を超え、このうち36%を75歳以上の後期高齢者が使っています。1人あたり93万円と65歳未満の約5倍に上っています。年を重ね終末期に近づくほど、医療費はかさみますが、高齢化と人口減が同時に進み、コストの多くを若い世代に負わせるのは限界があります。現在、70~74歳の窓口負担を1割から2割に上げている最中であり、2018年度中に引き上げが終わります。しかし、75歳になった人から再び自己負担が1割に戻ってしまいます。それを戻さず2割のままにしておけば、少しずつ後期高齢者の窓口負担の2割化が進みます。
また病院で処方された薬の窓口負担は一律3割で、薬局で買える同じ有効成分の薬より病院の処方の薬の方が安くなっています。市販薬と変わらない処方薬の自己負担の引き上げが課題になっています。さらに紹介状を持たずに大病院を受診した際に、窓口で一定額を上乗せして払う仕組みも考えられています。現在は400床以上の病院で初診の場合、5千円以上を窓口負担に上乗せして患者に払うよう求めています。対象となる病院を広げる案が検討されています。大切なことは、財政と社会保障の持続可能性を高め、いかにして世代間の不公平を小さくするかということです。

(2018年4月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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