21年ぶりの出生率高水準に憶う―Ⅳ

 2015年の出生率増加には、子育て支援策を充実させた自治体が増えたことも出生率上昇を下支えしていると思われます。政府の保育の受け皿確保などの待機児童対策が一定の成果を上げているとも考えられます。乳幼児医療費や保育料の軽減など、子育て支援の充実に加え、若者世代への移住対策にも力を注いだ自治体では出生率増加が増加しています。
 また、3034歳の女性が産んだ第1子が、前年比で3,471人増えたことが出生率上昇の一因になっています。晩婚化を食い止め、夫婦が複数の子を持つためには、できるだけ若いうちに結婚・出産できる支援が必要となります。多子世帯への支援とともに、若年層の雇用を安定させ、長時間労働などを是正する対策が求められます。
 出生率の上昇を継続させるためには、十分な財源確保し、国、自治体ともに若者や子育て世代への支援策の充実が欠かせません。

(2016年5月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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