5~11歳のワクチン接種

3月より、5~11歳を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が始まります。日本小児科学会は、5~11歳のワクチン接種に対する考え方を発表しています。子どもに接する大人への接種がまず重要だとしたうえで、健康な子どもにも、治験の結果や今後の感染拡大による中等症、重症化の懸念、流行の長期化が与える心身への影響などから、上の世代と同様に接種の意義があるとしています。
学会は、特に基礎疾患がある子どもには重症化の予防が期待できるとして接種を強く勧めています。神経疾患、脳性麻痺、慢性の肺や心臓の病気、ダウン症候群をはじめとする染色体異常症、がんや移植などによる免疫不全状態、高度肥満などがハイリスク群にあたります。主治医と保護者との間で、接種後の体調管理について事前に相談することが必要になります。
専門家でつくる厚労省の分科会は、現時点での海外での接種データでは重症化予防とオミクロン株への有効性が明確に示されていないことから、接種を強く保護者に呼びかける努力義務は課していません。先行する米国では、5~11歳に対する接種が推奨されていますが、米疾病対策センターによると、開始から約3カ月で、少なくとも1回接種した割合は4割ほどとなっています。
基礎疾患がある子どもはメリットがデメリットを大きく上回ります。しかし、健康な子どもはメリットが実感しにくいため、接種率はそれほど高くならないことが予想されます。家族に重症化リスクがある人がいるかなども含めて、それぞれ判断することが必要になります。

(2022年2月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。