AIによる病理診断

 AI(人工知能)を使って病理診断を迅速化する試みがなされています。組織の顕微鏡画像をAIで解析して、がんの疑いが強い細胞を見つけ出し、病理医が集中的に調べることで、診断の効率を上げることを目的としています。病理医の不足が、全国的に懸念される中AIの活用で解消を目指しています。患者から採った組織の病理診断は、手術での切除範囲を確定したり、その後の治療方針を決めたりするのに必須です。しかし、日本では病理医が不足し、実施できる病院は限られています。日本病理学会によると、専門医は約2,000人しかいません。必要な病理診断を実施するには約1,000人足りないといわれています。
 AIは、現在のところあくまで病理医の補佐役にすぎません。しかし、将来は人間の医師ではできない判断ができるのではないかと、研究者らは期待しています。切除したがん組織の画像に、その後の検査や治療、がんの進行のデータなどの医療情報を合わせて学習させます。集めたビッグデータを学習すれば、抗がん剤の効果や患者の予後を事前にある程度予測することが可能になるかもしれません。

(2016年9月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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