BSL-4施設

 エボラウイルスなど危険性の高い病原体を扱えるBSL-4施設の研究施設が、新たに日本で長崎大学に設置されることになりました。最も厳しい安全対策が必要なレベル4施設は、レベル3までの対策に加え、実験室から出る時に薬液で消毒する部屋など複数の部屋を通って病原体の流出がないよう対策が必要です。身元がはっきりして経験も豊富な研究者しか中に入ることができません。扱う対象もエボラ出血熱やマールブルグ病など、発症した際の死亡率が高く治療法もほとんどない感染症の病原体です。病原体を扱う施設は、感染の疑いがある患者の検査や治療中の患者の経過の確認のための検査、病原体の詳しい解析や、治療法や予防法の開発を行います。
 レベル4施設は現在、世界23カ国・地域、52カ所に設けられています。国内では国立感染症研究所村山庁舎のレベル4施設が2015年から稼働しています。しかし、この施設は1981年に整備されたものをレベル4施設として使い始めました。主な目的は検査や診断で、今はレベル4のウイルスを使った治療薬などの研究はしていません。日本では長くレベル4施設が稼働していなかったため、研究者は欧米やアフリカの施設を使って研究してきました。日本に研究に使えるBSL-4施設がなければ、新種のウイルスが流行した時情報は海外頼みになってしまいます。BSL-4施設は国防の観点からも必要となります。

(2017年1月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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