ES細胞の医療応用

 厚生労働省は、人の胚性幹細胞(ES細胞)を医療用に作製する計画を承認しました。ES細胞はiPS細胞と同様に体内の様々な臓器になる能力があり、以前より再生医療での活躍が期待されています。しかし、ES細胞は受精卵を壊して作るため、生命倫理上の観点から国内では基礎研究用の作製に限られていました。
 iPS細胞では、すでに目の難病患者に移植する臨床研究が実施されています。iPS細胞と並ぶ万能細胞であるES細胞でも、再生医療の臨床研究などに道が開けたことになります。計画によると、不妊治療などで余った受精卵の提供を受け、10年間に約20種類ほどのES細胞の株を作る予定です。大学や研究機関などにES細胞を提供し、再生医療に使う研究や医薬品の開発などに利用してもらうことになります。海外では、ES細胞から作った神経細胞を脊髄損傷の患者に移植する臨床試験が、2010年に米国で実施されています。

(2017年6月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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