iPS細胞による創薬の治験

 京都大学のチームが、iPS細胞を活用した創薬による医師が主導する治験を始めます。全身の筋肉に骨ができる難病である進行性骨化性線維異形成症(FOP)の治療薬の候補を発見しました。FOPは、筋肉や靱帯などの組織の中に骨ができる難病で、根本的な治療法がありません。200万人に1人が発症し、国内の患者は約80人とされます。
 方法としては、まずFOPの患者から皮膚の細胞を採取してiPS細胞を作りました。この細胞を使って約7千種類の化合物から病気の進行を抑える薬剤を絞り込んだところ、免疫抑制剤のラパマイシンに効果があることが確認されました。マウスに投与した実験では、病気の進行を遅らせる効果が認められています。ラパマイシンは免疫抑制剤として既に使われている薬であり、患者にとって福音となることが期待されます。
 iPS細胞の応用では、体の組織を作って移植する再生医療と創薬が二本柱として期待されています。創薬応用では、今回が初めて人に投与する治験となります。iPS細胞の開発から約10年がたち、創薬でも人に投与する段階に達しました。

(2017年8月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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