iPS細胞移植の安全基準

 iPS細胞から作った細胞を人に移植する臨床研究において、現在は基準がなく、研究現場に混乱が生じていることもしばしばみられます。iPS細胞は目や神経などの組織に変化させてから移植しますが、iPS細胞が変化せずに残っていたり、遺伝子の異常があったりすると、移植先で腫瘍やがんになる可能性があります。
 安全性の評価基準案では、iPS細胞が交じっていないかを調べるため、移植する細胞をあらかじめマウスの体内に入れ、腫瘍ができないか確認することを研究者に求めます。また、移植する細胞のゲノムを解析して遺伝子異常の有無などを調べることも評価項目として挙げています。がんに関係する遺伝子に異常が見つかった場合、がんになるリスクや患者の病気などを考慮して移植の是非を判断することになります。

(2016年5月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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