M字カーブの改善

女性の就業が主に出産や子育てに伴って30代で落ち込むM字カーブの度合いに、都道府県で違いが出ています。20代後半と30代で女性の労働力率の差を比べると、島根県は2.2ポイントでMの谷が最も小さくなっています。差が小さい地域は、女性の正規雇用率も高くなっています。人口減の中で働き手を確保するには、女性が仕事を続けやすい環境づくりが大切です。
2020年の国勢調査をもとに算出すると、M字カーブの落差は高知が島根に続き2.2ポイント、秋田が2.6ポイントと小さく、労働力率は20代も30代もほぼ同水準にあります。都道府県平均は8.8ポイントです。差が最も大きいのは、神奈川の13.7ポイントで、埼玉の11.8ポイント、千葉の11.6ポイント、東京の11.5ポイントが続いています。女性活躍で都市圏より地方が先行している面があります。
M字カーブを克服しても、多くの女性は、正規雇用率が20代後半をピークに減るL字カーブに直面します。仕事は続けても雇用形態が非正規へと移ることを示しています。税や社会保険料を考慮したいわゆる年収の壁から、就業を調整する女性も多くなっています。Mの谷がなだらかな島根、高知、秋田各県は、30代後半の正規雇用率も全国より5~7ポイント高くなっています。人口減に伴う人手不足も一因ですが、正社員の座を維持しやすい環境にあります。

(2023年4月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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