OAT症候群とは

OAT症候群(oligoasthenoteratozoospermia syndrome)とは、精子の数が少ない、精子の運動率が低い、正常形態の精子が少ない、これらの総称する病気です。不妊に悩む男性の8割は、精子を作る機能に問題があるとされている造精機能障害です。うち精索静脈瘤は30%、原因不明は42%です。
精索静脈瘤は精巣から静脈を通って心臓に戻る血液が逆流して生じます。思春期以降にできることが多く、一般男性の約15%にあると言われています。こぶができ、血流障害が起こり、精巣の温度が上がるなどして、精子を作る機能が低下し、精子濃度や運動率が悪化します。手術では、逆流している静脈を縛って切断します。別の静脈から血液が流れるようになると、こぶが消え、精子の状態を改善でき、自然妊娠や体外受精の成功率も高まります。手術は複数の方法があり、4月に保険適用になった顕微鏡を使う手術は、合併症や静脈瘤の再発率が低いとされています。
原因が分からない人や手術に抵抗がある人には、ビタミン剤などの服用、禁煙や適度な運動と睡眠といった生活習慣の見直しが勧められます。欧州の研究では、適度に運動する人のほうがそうでない人より精子の運動状態が良くなっています。約2千人を調べた欧州の別の研究によれば、不妊の原因がある男性は、パートナーが妊娠した男性に比べて体格指数(BMI)が有意に高く、肥満傾向にあるとされています。

(2018年7月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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