Well-being重視の時代へ

一人ひとりが幸福・健康であることを表すWell-beingに注目が集まっています。GDP(国内総生産)では測れない内面的な豊かさを重視し、GDW(国内総充実)を新しい指標にしようという動きも出てきています。近年は個人だけではなく、地域や社会全体が幸せで、良好な状態にあることを意味するようになってきており、SDGsに続いて、未来の方向性を示すキーフレーズにもなってきています。
幸福についての研究は1980年頃から心理学の分野で進展し、2008年のリーマン・ショックで経済が打撃を受けた頃から、経済的な指標ではない形で、内面の豊かさを測る研究が様々な分野で進んできました。ある程度までは、収入増加に比例して幸福度も高くなります。それ以上の年収では、幸福度はほぼ変わらないとされています。現代社会は利益重視の成長ではなく、サスティナブルな発展を目指しています。
2005年の国連サミットでSDGsが採択され、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すことが掲げられました。さらに新型コロナの感染拡大で、従来の価値観は大きく揺らぎ、暮らし方や働き方を見直す人が増えてきています。経済界でも、人々の幸福や生活の満足度向上と経済成長を両立させる取り組みが始まっています。
世界各国でWell-beingの測定・研究が盛んになり、日本でもWell-beingを測る物差しとしてSDWを活用し、内面の豊かさを伴う真の成長を目指そうと国や経済界が動き始めています。

(2021年10月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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