いじめの犯罪性

小中高生がいじめで警察に摘発・補導されるケースが増えています。文部科学省によれば、2022年度に国公私立の小中高校などで認知されたいじめ68万1,948件のうち、学校が警察に相談・通報した件数は2014年です。前年度から670件増えています。背景には、いじめ対策における学校と警察との連携の広がりがあります。
いじめが警察の捜査対象になると、特に加害者側は立件されるのを恐れ、実態解明のために設けた第三者委員会などに対して証言しにくくなる可能性があります。そうすると、深刻なケースなのに、結果的にいじめ防止対策推進法の目的である全容解明や再発防止につながらない恐れが出てきます。
一方、近年はスマートフォンやSNSの普及で、誹謗中傷や性的な画像・動画が短時間で拡散する恐れがあり、警察による迅速な対処が必要な事例が増えています。警察と学校の一層の連携が必要な時代に入ったと言えます。対応の遅れで事態が深刻化するのを防ぐためにも、各校の生徒指導主事や警察署の生活安全課員ら、実務者同士の情報交換の機会を増やすことが大切です。

 

(2024年4月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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