医療費と介護費の値上げ

公的医療保険や介護保険の費用は、患者や利用者の負担を軽減するため税金が投入されています。原則、医療費は2年に1度、介護費は3年に1度改定しており、2024年度は6年に1度の同時改定となります。初診料や治療費など医療費である診療部分は0.88%、介護費は1.59%引き上げる政府予算案が、3月に国会で可決、成立しました。
引き上げの大きい要因は、他業種に比べて給与が低い医療や介護の現場で働く人の賃金を上げるためです。医療費は改定率0.88%(給付費・予算ベースで3,600億円程度)のうち、0.28%(1,100億円程度)は、給与が低い40歳未満の勤務医などの賃上げ分です。人手不足が深刻な看護師などの給与の引き上げ分として0.61%(2,500億円程度)も含まれます。
介護費は、改定率1.59%(2,100億円程度)のうち、6割以上の0.98%(1,300億円程度)を介護職員の給与などの処遇改善分としています。人材不足は、介護保険制度が抱える最も大きな課題です。2040年度には70万人近い人手不足が想定されており、大幅増となりました。

 

医療費と介護費は、①患者や利用者の自己負担、②加入する公的保険に納める保険料、③国などの税金で賄われています。医療保険では定められた単価のうち、現役世代は原則3割、高齢者も1~3割負担です。公的医療保険では高額療養費制度があり、1カ月の上限額もあります。100万円を超えるような手術も、収入に応じて数万~数十万円の自己負担で済みます。高齢化で医療保険も介護保険も総額が増加し続け、現役世代の保険料負担は重くなっています。

(2024年4月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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