どうなる2070年―Ⅴ

社会保障制度の破綻
公的年金や医療、介護などの社会保障制度の原資となる保険料は、主に現役世代が負担し、高齢者など必要な人への給付に充てられています。生産年齢人口(15~64歳)を現役世代とした場合、戦後間もない1950年当時は、65歳以上の高齢者1人を、現役世代が12人で支える状況でした。
しかし、2020年の人口比率は、高齢者1人に対し、現役世代2人となっています。さらに推計によると、2038年には現役世代が1.7人、2070年には1.3人に減少する見通しです。現役世代の人口割合が減ると、社会保障制度を現状の水準で維持できなくなってしまいます。
出生率の低下により、年金財政が悪化し、給付水準が想定よりも低下する可能性も出てきています。年金だけでなく、健康保険料や介護保険料の負担も上昇が懸念されます。国民が所得の中から税金や社会保険料をどれだけ払っているかを示す国民負担率は、1993年度には36.3%でしたが、2023年度は46.8%と、この30年で約10ポイントも上昇しています。若年層の減少を伴う人口減によって、現役世代を中心に負担はより厳しいものになります。

(2023年4月27日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。