アジア・アフリカにおける糖尿病の増加

アジア・アフリカ地域で糖尿病患者が急増しています。経済成長とともに過食による肥満が増えたことや、新型コロナウイルスの感染拡大による都市封鎖や外出制限で、運動量が減ったことも重なっています。糖尿病は、放置すれば心臓病や脳卒中、失明などの深刻な合併症を引き起こします。
糖尿病は、膵臓でつくられるホルモンインスリンが不足したり、効きにくくなったりすることで、血糖値が高くなる慢性疾患で、インスリンを分泌する細胞が機能しなくなる1型と、肥満や運動不足が原因でインスリンが効きにくくなる2型などがあります。世界では2型が9割を占めています。WHOによれば、糖尿病は直接死因としては9位ですが、高血糖が続くと血管が傷つき、、死因1位の虚血性心疾患などの合併症を起こすリスクが高まります。
国際糖尿病連合の推計によれば、患者数はアジア・アフリカで2045年に5億6,000万人と、2021年比1.5倍になるとされています。南アジアは1.7倍の2億2,000万人に、サハラ砂漠以南のアフリカは2.3倍の5,500万人に急増します。同期間に1.1~1.2倍に抑える見込みの欧州や北米とは対照的です。
アジア・アフリカでは、伝統食が比較的低カロリー・低脂肪だったのに対して、グローバル化の進展で高カロリー・高脂肪の欧米的な食習慣が流入しました。都市部ではファーストフード店も広がっています。炭水化物や脂質の多い食事の取り過ぎが肥満を招き、糖尿病を誘発しています。

(2023年2月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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