オーバードーズの蔓延

風邪薬など市販薬を過剰摂取するオーバードーズが、若者の間でまん延しています。これが原因と疑われる20代以下の救急搬送は、2023年1〜6月で2,602人と、全体の半数近くを占めています。SNSの影響もあるとみられ、生きづらさを抱える若者の精神面のケアや啓発が必要となります。
総務省消防庁などによれば、医薬品の過剰摂取が原因と疑われる10代以下の救急搬送は、2022年は1,520人を数え、集計を取り始めた2020年から4割超増えています。2023年は上半期で860人と、2022年を上回るペースです。20代はさらに多い1,742人です。
過剰摂取の広がりには、ネットが影響しています。OD(オーバードーズ)界隈、パキるなど、SNSの投稿にはこうした言葉とともに、大量の錠剤の画像が並んでいます。摂取した医薬品の量や摂取後の自覚症状を詳細に記した投稿も散見されます。大麻など違法薬物の使用は興味本位が目立つ一方、市販薬の過剰摂取は悩みや生きづらさから逃れようと行う場合が多くなっています。
乱用の恐れがある市販薬をめぐり、厚生労働省の検討会は、2023年12月に20歳未満の若者が大容量製品や複数個を購入するのを禁じる販売制度見直し案を取りまとめました。医療現場では悩み相談にのることが重視されており、教育現場や家庭にも適切な向き合い方を啓発することが大切です。

(2024年2月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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