カスハラ被害の増加

厚生労働省は、顧客や取引先のクレームや言動のうち、要求の妥当性を欠いたり態度が、社会通念上ふさわしくなかったりして労働環境が害されるものをカスハラと定義しています。連合の調査によれば、コロナ禍以降にカスハラを受けた人は13.5%で、パワーハラスメントの23.3%に次いで多く、セクシュアルハラスメントの8.1%を上回っています。コロナ禍で発生件数が増えたと答えたのは、23.1%に達しています。
ミスを許さない不寛容な社会になっていることに加え、コロナ禍のストレスで人々の怒りの沸点が低下してカスハラにつながっています。SNSの普及で消費者が不満や苦情を訴えやすくなっています。カスハラの取り組みを特に実施していないとする企業は、57.3%で半数を超えています。顧客の理不尽な要望への対応も優れたサービスの一環と考え、我慢して対処するケースがあります。カスハラを見逃している企業も多くなっています。
従業員を保護してカスハラに毅然と対応する企業風土や、個々の事案を共有して対策に生かす取り組みが大切になってきます。小規模事業者でも対策を取れるよう業界団体が、マニュアルを作る必要もあります。

 

(2023年2月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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