グローバルサウスへの対応

東西冷戦後の1990年代から、人・モノ・カネ・情報などが国境を越えて活発に動くグローバル化が進みました。その恩恵を受けられずに取り残された国や地域などがグローバルサウスと呼ばれています。

アフリカや中南米など南半球を中心とした途上国や新興国と、地理的には重なる部分が多くなっています。しかし、グローバル化の恩恵を受けられなかったのは、南半球の国だけではありません。一つの国の中でも格差が広がる中で、グローバルサウスはあらゆる不平等を含む考え方としても使われています。
グローバルサウスでは、ウクライナに侵攻するロシアへの非難を控え、欧米主導の経済制裁に加わらない国も多くなっています。アフリカには、ロシアが軍事支援を強めている国もあります。また東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部の国も、ロシアとの経済的なつながりを深めています。大国間の争いに巻き込まれないように、ウクライナをめぐる問題で曖昧な立場を取る国も多くなっています。インドやブラジルは、自分の国がグローバルサウスのリーダーとして認められたいと考えています。
グローバルサウスは、人口や資源も多く、経済的な潜在力が高い一方、食料やエネルギー、気候変動、感染症対策など地球規模の課題に直面しています。こうした問題を共有し、どう一緒に取り組めるかを打ち出せるかがポイントになります。

(2023年5月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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