スキル重視の人材採用

学歴でなくスキルを基準に人材を選ぶ企業が世界で増えています。IT産業で先行しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)で目まぐるしく変わる企業のニーズに、既存の大学教育が追いついていません。学歴を問わない採用は海外でも増えています。
背景には、既存の大学教育と企業ニーズの乖離があります。経済産業省が、国内の働き手に業務に必要な専門知識をどこで学んだかと尋ねたところ、大学と答えた人の割合は情報系で33%です。主要職種で最低でした。特に日進月歩のデジタル分野の知識の習得は、企業の研修や自学自習が中心となります。
政府は、2022年度にデジタル分野などの学部新設を支援する基金を設けるなど、大学教育を産業界とのギャップ解消を急いでいます。クラウドやアプリ開発などニーズの高い分野ほどスキルの新陳代謝は激しく、先端知識を備えた人材は、大学には少ないとの指摘もみられます。全体の7割の大学で、デジタル分野の指導教員が不足しています。
スキル取得の場としてeラーニングが存在感を高めています。米国では、新たな教育機会を生かし、高度なスキルを習得した人材が7千万人いるとの試算もあります。今後はeラーニングの履修証明が企業の採用選考に活用されると思われます。学歴で選んでおけば無難という安易な採用に寄りかかっていては、日本は成長できなくなってしまいます。

(2023年4月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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