デジタル赤字の拡大

OECDが発表した2023年版のデジタル政府指数ランキングによれば、日本は調査対象の33か国中31位でした。2020年に発表された前回調査の5位から大きく順位を落としています。コロナ禍で各国がデジタル化を進める中、日本の対応の遅れを示す結果となっています。1位は韓国で、デンマーク、英国、ノルウェー、オーストラリアが続いています。
三菱総合研究所の集計によれば、2023年のデジタル関連の赤字額は約5.5兆円に達し、2014年比で2.6倍に膨らんでいます。日本のデジタル分野の劣勢が招く国富の流出が深刻になっています。最大の要因は、デジタルサービスで米巨大ITへの依存度が高まっていることです。
デジタル収支にはクラウドやインターネット広告、スマートフォンのアプリストアといった米巨大ITが強い支配力をもつ分野が含まれています。クラウドはアマゾンやマイクロソフト、ネット広告はグーグルやメタ、アプリストアではアップルとグーグルが日本で大きなシェアを占めています。コンピューターサービスなど一部の項目では特に米国への支払いが多くなっています。
日本が、海外のデジタルサービスを一方的に使う状況が続けば、デジタル分野で日本企業に回るお金が減り、さらに競争力が低下するという悪循環に陥ります。ChatGPTなどの生成AIも米企業のサービスが強く、日本企業がAIの利用や業務のデジタル化を進めれば進めるほど、海外への支払いは増えてしまいます。

(2024年2月19日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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