人類が経験した感染症の大流行

新型コロナの世界的流行から3年以上が経過しました。感染者は7億6,522万人、死亡者は692万人で、100年に1度とも言われるパンデミックとなりましたが、集団免疫は高まり、死亡する人の割合も低くなりました。
これまで人類は何度も感染症の大流行を経験してきました。有名なのは中世ヨーロッパで猛威を振るった黒死病(ペスト)です。大流行を繰り返し、14世紀の流行では当時のヨーロッパの人口約8千万人の6割が死亡したとも言われています。1918年から流行したスペイン風邪は世界中で数千万人が亡くなっています。
2002年に香港を中心に広がった重症急性呼吸器症候群(SARS)は、世界で約800人が死亡しています。2012年にサウジアラビアで初めて確認された中東呼吸器症候群(MERS)は800人以上が死亡しています。ともにコロナウイルスの一種が原因です。
新たに見つかった病原体による感染症を新興感染症と言います。新型コロナやエボラ出血熱、新型インフルエンザなどがあります。過去に抑えられていた病原体が再び広がるものは、再興感染症と呼ばれます。結核やコレラなどです。
入院するベッドや、治療にあたる人の確保、治療薬やワクチンの開発など、新型コロナでは様々な課題が分かりました。流行初期に政府内で省庁間の連携が遅れた反省から、司令塔となる組織である内閣感染症危機管理統括庁が新しくできます。大流行を見据えて普段から計画を立てることが大切です。

(2023年5月9日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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