保育施設の定員割れ

読売新聞のアンケート調査によれば、県庁所在地や政令市など保育の需要が大きい103自治体の保育施設の少なくとも約4割が、今年4月入園の1次選考終了時点で定員割れになっています。少子化で全体の保育需要が縮小しているほか、保育士不足や、特定の施設に利用希望が偏るといった要因が重なったとみられます。
約8割の自治体で、待機児童はすでに解消したか、今年度中に解消する見込みであり、国が目標とする2024年度より早くなっています。国は2021年度からの4年間で、計約14万人分の保育の受け皿を増やす新子育て安心プランを進めてきましたが、この間想定以上のスピードで、少子化も加速したことが背景にあります。厚生労働省の調査によれば、2022年4月時点の待機児童数は過去最少の2,944人となり、2017年のピーク時の約9分の1まで減っています。
定員についての課題では、利用希望が特定地域に偏在し、定員を満たさない施設がある(75自治体)、就学前人口が減るなどし、定員を満たさない施設が増えてきた(52自治体)などが多く挙がっています。
親の就労時間の基準などを満たさない家庭の子を定期的に預かる保育園も出てきています。誰でも時間単位で利用できる、新たな通園制度の創設も必要になります。これまで対象になっていなかった家庭に支援を広げることは、子育て負担を軽減し、少子化対策になるだけでなく、施設運営の助けにもなります。

 

(2023年4月5日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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