個人でできるCO2削減

国立環境研究所などの研究によれば、日本では、2015年時点で年間平均で1人あたり約7tの温室効果ガスを排出しています。世界は、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えようとしていますが、世界中の人が2030年時点で排出できるのは、1人あたり約3tです。さらに、2050年時点では1tまで減らすことが必要となります。2015年の県庁所在地や政令指定都市別の分析では、最多の水戸市は約8t、最少の那覇市は約6tでした。
気候危機に対して個人ができることをまとめた気候変動アクションガイドが、昨年公開されました。太陽光などで発電し、断熱性も高めて、消費するエネルギーを実質ゼロにした住宅にできれば、1.8tの大幅な削減が期待できます。自宅に太陽光パネルを設置すれば1.3t減、電力会社から買う電気を、風力などの再生可能エネルギー由来に切り替える対策で1.2t減らせます。マイカーを、ガソリン車から電気自動車に切り替えれば約0.2t減、通勤をやめてテレワークに切り替えれば0.3t減らせます。自宅の電球をLED照明に切り替えた場合は約0.1tとなります。
個人の行動も含めて調べると、飛行機によく乗ったり、環境負荷が大きくなりがちな肉食が多かったりすると、排出量が増えます。排出量にかなり個人差、ある意味で格差があることも分かってきています。自分がどれだけ排出しているかを計算できるウェブアプリも開発されています。
企業は、消費者がこうした行動を選べるよう、後押しになるような商品やサービスを提供することも必要になります。小売りやインフラ事業者の役割が大きく、消費者が選びたくなるような選択肢がなければ、気温上昇を抑える目標を達成することが難しくなります。市民の側も、こうした商品やサービスを選ぶことが、企業の活動を応援することにつながります。1.5度の約束を守るには、排出をあと8年で半分以下にするのが目安となります。

 

(2022年11月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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