光認知症療法の開発

加齢とともに進行するアルツハイマー病に対して、根本治療を目指す光認知症療法の研究が進んでいます。光認知症療法が標的にするのはアミロイドβと呼ばれるアルツハイマー病の原因物質です。通常は脳の免疫細胞であるミクログリアに食べられて除去されますが、患者の脳ではアミロイドβが凝り固まった状態になっており、ミクログリアがうまく処理できません。
光認知症療法では、光が当たった時に酸素化触媒として働く薬剤を投与しておきます。光を当てると、薬剤はアミロイドβの凝集体を区別して酸素化反応を起こします。アミロイドβに酸素がくっつくことで、凝集体がほぐれた状態になり、ミクログリアによって除去されやすくなります。
東京大学の研究グループは、実験用マウスを使い、頭の外側から照射する方法と、頭部を切開して照射する方法をそれぞれ試しています。アミロイドβの量は、前者では4カ月後に3~4割減少、後者は約1週間で半減していました。東京大学の光認知症療法は、既にできてしまったアミロイドβの沈着物を比較的短期間で減らせるため、病気の根本治療につながる可能性があります。

(2021年8月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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