児童手当の拡充のための財源

異次元の少子化対策においては、児童手当の拡充が中心となっています。現在は、中学生までの子ども1人につき月1万~1万5千円が支給されます。子ども2人の専業主婦家庭の場合、夫の年収が960万円以上だと月5千円の特例給付に減額され、年収1,200万円以上には支給されません。また高校生には支給されません。
現在の議論の焦点は、親の年収にかかわらず全ての家庭が受け取れるように所得制限を撤廃するか、最大月1万5千円の金額を増やすか、対象を18歳までに広げるかなどです。しかし、これらを実現するには数兆円規模のお金が必要になります。
所得制限は、都市部を中心に子育て家庭を苦しめています。しかし全国を見渡せば、元々所得制限対象外の9割の子育て家庭で、撤廃しても児童手当の金額は増えません。所得制限を無くして、年収960万円未満の家庭で育つ子どもたちと同じ金額を支給した場合、1,400億~1,500億円規模の費用がかかるとされています。
中間層まで経済支援を強化するには、高校生までの支給延長、多子加算が必要になります。現在は中学生までの支給対象を18歳まで広げた場合、4千億円規模の費用がかかります。多子加算で、第2子に3万円、第3子に6万円と増額した場合は、2兆円規模がかかってしまいます。児童手当は全ての子どもに関わり、金額を少し上げるだけで膨大なお金がかかります。

(2023年2月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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