初任給の急伸

日本経済新聞が実施した採用計画調査によれば、2023年4月入社の大卒初任給は前年比2.2%増です。2022年入社を1.6ポイント上回り、2010年以降で過去最高となる増加率です。労務行政研究所によれば、2023年度に全学歴で引き上げた企業は70.7%と、2022年度比28.9ポイント増に急増しています。
背景には、新卒採用で売り手市場の傾向が一段と強まっていることがあります。リクルートワークス研究所によれば、2024年3月卒業予定の大卒求人倍率は1.71倍と、2023年卒の1.58倍より、0.13ポイント上昇し、新型コロナウイルス禍前の水準に近づいています。少子化もあって大卒求人倍率の上昇基調は、長期的に続くと思われます。
賃上げの波は新卒だけでなく、これまで春季労使交渉の対象外だった、管理職やシニア人材にも広がっています。中途採用競争も激しくなっています。永久凍土のように手つかずだった初任給の引き上げと管理職やシニアの処遇改善が、人手不足を背景にようやくてこ入れされ始めています。

(2023年5月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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