劇症型溶連菌感染症(STSS)の増加

急速に症状が悪化し、致死率が3割とされる劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の患者が、2023年に過去最多の941人となりました。感染力の強い株が国内でも確認され、前年を上回るペースで患者が報告されています。厚生労働省は、手の消毒やマスク着用など基本的な感染対策の徹底を呼びかけています。手足の傷口から感染することが多く、清潔に保つことが大切です。
STSSは、手足などの壊死を引き起こすことがあり、人食いバクテリアとも呼ばれています。致死率は3割程度とされています。原因は溶連菌で、通常は感染しても一般的な風邪症状にとどまりますが、稀に重症化してSTSSを発症します。初期の症状は、咽頭痛や発熱で、組織の壊死や多臓器不全などが起こります。発症後、数十時間で死に至ることもあります。手足の腫れがみられ、40度近い高熱が出た場合は、救急車を呼ぶべきです。
新型コロナの5類移行による感染対策の緩和や、海外から持ち込まれた毒性の強い株の流行が要因と考えられています。英国で2010年代に流行した病原性や感染力の強いとされる株が、日本国内でも2023年夏から増えています。2023年は、溶連菌の一種であるA群溶血性連鎖球菌咽頭炎が流行しました。子どもから大人に感染するなどし、STSSを発症した患者が増えた可能性があると思われます。

(2024年2月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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