高齢者の高齢化への対応

医療や介護分野で85歳問題への懸念が高まっています。複数の病気や認知症があり、介護も生活支援も必要となる85歳以上人口が、2036年に1,000万人を超えると見込まれています。高齢者の高齢化への対応が急務です。
入院や訪問治療の受療率は、85歳以上で急増します。介護保険の要介護認定率も、65歳以上の18.3%に対し、85歳以上では57.8%に上ります。認知症も、60代後半で1.5%だった有病率は、80代後半になると44.3%、90歳以上では64.2%となります。
支え手となる医療・福祉人材は、2040年には96万人が不足する見込みです。通院困難な高齢者の増加に加え、退院後の受け皿としても急増する在宅医療ニーズを支える人材も、診療所の開業医の平均年齢が60歳を超えています。
入退院を繰り返す高齢者が安心して家で暮らせるためには、入院直後から医師や看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーらが協働して退院支援を進めることが大切です。退院直後も訪問看護師やケアマネジャー、ヘルパーらも交えた支援が欠かせません。開業医らとも連携し、いつでも相談・連絡できる体制を整えることも必要です。在宅高齢者の心拍数や睡眠状態などを把握できるICT機器や、オンラインによる診療も有効です。ICTは人手を補う戦力となるほか、他職種の連携・情報共有に役に立ちます。

(2024年2月17日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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