労働者1人あたりの企業の設備量

日本企業の生産性向上に向け、工場の設備やソフトウエアなどの高齢化を解消する重要性が高まっています。内閣府によれば、設備の新しさを示す平均年齢は、2019年時点で日本は11.8年と、G7で2番目に老朽化しており、設備更新は大きな課題です。最も長いのはイタリアの13.3年で、それに続くのが日本です。最も短かったのは米国の9.7年でした。労働者1人あたりの日本の設備量も、2019年時点で22.5万ドルでG7で最下位です。
日本はバブル経済が崩壊した1991年時点では7.9年で、G7で最も短かったのですが、新規に借り入れをする形での設備投資を抑える傾向が広がったことが、老朽化につながりました。大企業が持つ資産のうち、工場の機械や店舗といった設備が占める比率は、この20年で半減しました。資本金10億円以上の大企業の資産に占める設備の比率は、2023年10~12月期に13.9%でした。ピークだった1999年4~6月期の27.6%の半分程度です。
日本では少子高齢化により、比率を算出する際の分母となる労働者の人口が伸び悩んでいますが、それ以上に設備が目減りしています。日本は、長いデフレで物価や賃金が上がりにくい状況でしたが、この数年で上昇に転じる兆しが出ています。ため込んだ内部留保や現金設備で生産性を高められるかが成長のカギを握っています。

(2024年3月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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