医学部女子受験生への対応

東京の私大医学部が、入学試験で女子受験生を一律減点し、合格者数を抑えていたことが問題となっています。大学病院の医師を確保するため、出産や育児で休職や離職する可能性のある女性医師を少なくする思惑があったとみられています。働き方改革が進み、女性医師の就労支援も求められる中、門前払いの対応は女性の活躍推進を阻む象徴的ともいえるケースです。
厚生労働省によれば、2016年の医師全体に占める女性の割合は21.1%です。経済協力開発機構(OECD)の加盟国の平均は41.5%で、最も多いエストニアでは73.8%にも達しています。英国やドイツも40%を超えており、わが国は欧米諸国に比べて女性医師の割合は最も少ない状況にあります。海外では、交代勤務制の導入が進んでいる以上、配偶者への育休など働く女性医師を支える環境が整っています。
私どもが専門とする産婦人科学は、20代、30代の医師の6~7割を女性医師が占めています。女性医師が子育てをしながら、就業を継続できる環境を作っていかなければ、わが国の周産期医療を維持していくことができません。これまでの医療現場は、男性中心の意識が根強く、女性医師が活躍しやすい就労環境の整備が遅れていました。女性医師の働き方改革には女性の視点が必要です。産婦人科にとっては、男女問わずワークライフバランスをとれる職業にすることが、今問われています。

(2018年8月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。