博士課程進学か就職か

文部科学省の調査によれば、2021年度に修士課程を終えて就職した学生の3割が、博士課程に進むと就職が心配と答えています。全体の3分の1は奨学金などの借入金があり、経済的な見通しが立たない学生が進学を諦めています。
就職を選んだ学生は71.9%を占めています。博士課程に進まなかった理由としては、経済的に自立したいが66.2%と最も多く、社会に出て仕事がしたいが59.9%と続いています。進学すると生活の見通しが立たないが38.4%、博士課程修了後の就職が心配が31.1%、いずれも3割を超えています。
返済が必要な奨学金を学部時代から利用するケースも多く、在学中の借入金の負担は大きいと思われます。入金がある修士課程修了者は全体の33.7%で、このうち4割以上は借入額が300万円以上でした。
人口100万人あたりの博士号取得者は、米国が281人(2018年度)、韓国が312人(2020年度)で、いずれも2001年度の2倍を超えています。日本は120人(2019年度)で、2001年度の127人と比べて減っています。大学院を出た後のキャリアパスへの不安解消が高度人材輩出に向けた課題となっています。

(2023年2月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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