厚生労働省の分割

ここ数年、厚生労働省は増える社会保障や労働関係の業務に体制が追いついていません。2001年の省庁再編時と比べると日本の財政は悪化し、年金や医療は、持続可能な枠組み作りを改めて問われています。経済の生産性を高める働き方の見直しも急務ですが、肥大化した今の組織は弊害が目立ち、政策立案の遅れが指摘されています。省庁再編で肥大化し、結果として政策対応が鈍くなった厚生労働省の組織を見直す意味は大きいと考えられます。
日本のように年金や医療、労働を一つの省で扱う国は世界では稀です。米国は社会保障、年金、労働政策を複数の省庁で分担し、英国やフランス、ドイツも複数に分けています。厚生労働省は閣僚の守備範囲があまりに広く、分割すれば意思決定が早くなる利点があります。政策立案を強化し、生産性を高めるためにも、2020年を目標に旧厚生省と旧労働省の業務の2分割による新体制を発足させることは必要と思われます。

(2018年8月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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