大学発スタートアップの増加

経済産業省の2022年度調査によれば、大学発スタートアップは、1年間に過去最多の477社増え、合計で3,700社を超えています。増加数の首位は慶應義塾大で、ベンチャーキャピタル(VC)と連携した支援拡充が奏功しています。東京大なども盛り返しています。
首位の慶應大は61社増え、公認VCの慶應イノベーション・イニシアティブが主導し、起業のタネの発掘や経営人材の獲得、資金調達などを一括で支援しています。ITや創薬、再生医療といった領域のスタートアップを多く生んでいます。
活性化する大学発起業には課題もあります。研究成果を生かした先端技術系のスタートアップは、事業化や社会実装に時間がかかるケースが多く、VCなどから大型の資金調達をしにくい状況にあります。米欧を中心とした利上げに伴う資本市場の変調も逆風となっています。政府のスタートアップ育成5カ年計画は、1大学あたり50社の起業を目標に掲げています。スタートアップを取り巻く環境が急速に変化する中、産官学の連携の深化と進化が求められます。

(2023年5月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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